リリースノート

CAEFEM v7.3 日本語版

Copyright (c) 2002 Concurrent Analysis Corporation


http://www.caefem.com/
http://www.cae-nst.co.jp/
Numerical Simulation Tech Co.,Ltd.
(c) 2002 Concurrent Analysis Corporation


目次

セットアップについて


新機能

文書

バグフィックス

判明している問題点

 


セットアップについて

本リリースに先立ち配布された「CAEFEM v7.3 日本語版 (ベータリリース)」をインストールしている場合は、本リリースをインストールする前に、ベータリリース版をアンインストール(削除)してください。

アンインストール方法については『セットアップ ガイド』をご参照ください。

 

トップへ戻る


新機能

FEMAPキーへのライセンス組み込み

CAEFEMのライセンス方式に特定のFEMAPのライセンス キーを参照するオプションを追加しました。
これは、特定のFEMAPのパラレルポート キーまたはUSBキーのシリアル番号に対し、CAEFEMをライセンスする形態です。

このライセンス オプションには以下のメリットがあります:

このライセンス オプションには以下の制限があります:

FEMAPキーへのライセンス組み込みの詳細に関しては、当社までご連絡ください。
 

積層要素の機能拡張

積層要素について、線形要素をサポートしました。
また、熱伝導解析に使用できるようになりました。
層間接着破壊指標を出力できるようになりました。
 

直交異方性材料

プレートおよび積層要素の直交異方性材料の精度が向上しました。
以前のバージョンではたとえば熱ひずみ解析での異方性の効果が正確ではありませんでした。

共役勾配法エンジンの汎用化

線形静解析で驚異的な速度を実現していた共役勾配法エンジンが、以下の解析で利用できるようになりました。

新しいPCGLSS共役勾配法エンジンを使うと、従来の数倍〜数十倍の速度が実現できます。
PCGLSS共役勾配法エンジンを使うと、高速化できる上にメモリやハードディスクの容量を劇的に削減できます。 この結果、従来は困難か、または不可能であったような大規模な動解析が可能になります。

64Bitファイル アドレッシング

CAEFEMはパーソナル コンピュータ ベースの商用構造解析プログラムとして初めて64bitファイル アドレッシングを採用しました。この結果、処理できるファイルサイズは従来の2GB制限を超え ることが可能です。

この改良によって、たとえば50000ノード、300ステップの過渡構造解析を処理できるようになりました。このような解析結果のファイルサイズはバイナリで数GBにも及ぶので、従来の32Bitファイル アドレッシングでは解析結果 のすべてを出力できませんでした。

また、解析結果をGLviewへダイレクトに出力できるので、このような大規模問題でも、心配することなくポスト処理ができます。

ポストプロセッサ「GLview」表示例

 

ユーティリティツールの追加

従来のユーティリティツールの追加して、以下の新しいツール群が登場します。

直交異方性材料チェッカー

材料プロパティを指定すると、その材料が直交異方性材料として破綻していないかどうかを判断するツールです。
このツールは、ポアソン比の範囲、 体積弾性率の判定を行います。
従来のせん断弾性率に関する45°方向の等方性条件を使用することなく、三つの縦弾性率、三つのせん断弾性率、および三つのポアソン比を設定できるようになりました。

トレスカ応力の計算

ノード値と要素中心値に対してトレスカ応力を計算し、結果を保存できるようになりました。 従来は最大せん断応力のみでしたが、このツールを使うと、 最大せん断応力の2倍の応力を計算します。

直交異方性材料の強度評定

直交異方性材料の強度評定として最も基本的なHill(`48)の強度評定を計算できるようになりました。
Hill(`48)を使うと、引っ張りとせん断の強度を材料座標系で評価できます。 結果は、新しい解析結果セットとして登録され、最大値と最小値を表示します。
解析出力は、破壊指標値です。
破壊指標値が1を超えると、降伏または破壊がおこると見なします。
直交異方性材料に関する強度評定は今後も拡張予定です。

VEM設計支援ツール ダンピングデザイナー

ダンピングデザイナーは、粘弾性体を使ったパッシブダンパの設計を支援するツールです。応答の最大値とひずみエネルギ量から、モードに対する所要の損失係数を実現できるVEMの取り付け位置、 取り付け量を推定するのに使用できます。
動的応答を制限したい様な場合、 このツールは大変便利です。

材料単位系変換&作成&編集ツール ユニコーン−M

ユニコーン−Mは等方性材料の作成編集を支援する総合的なツールです。 材料データを参照するとき、 その単位が目的のモデルの単位系と異なる場合があります。 ユニコーン−Mを使うと、元の材料データの単位系と、モデル上の単位系を指定することで換算の手間を省きます。 ユニコーン−Mは新規に材料プロパティを作成することも、また、すでに登録されている材料プロパティを参照したり、変更したりできます。

単層プライの材料計算モジュールの拡充

本バージョンから、単層プライの機械特性計算に関してHalpin-Tsaiが利用できるようになりました。
また、応力集中係数をモデル計算する機能も追加されました。

アイソグリッドプロパティ計算機能のグラフィカル表示

アイソグリッドプロパティの計算を行うダイアログボックスに絵を表示するようにしました。

応力とひずみの座標変換

応力とひずみの直交、円筒、球座標系への変換時には参照座標系としてローカル直交座標系を使います。 この座標系は姿勢と方位を決めるだけです。 本バージョンから、選択できる座標系は直交座標系のみになり、誤って球座標や円筒座標を指定することを防止できるようになりました。 ご不自由をおかけして申し訳ありませんでした。
 

離散フーリエ変換ツール

過渡の構造、熱の解析結果を離散フーリエ変換して、周波数成分を出力します。

計算はFFTではなく、直接離散フーリエ変換するので、データ数が2のn乗個なければならないという制限はありません。ただし、計算に多少時間がかかります。
変換結果は、FEMAP関数に出力されます。

FFTアナライザでおなじみの以下の窓関数が利用できます。

出力として、1ノードを指定した場合、以下の結果が得られます。

2ノード指定した場合には、上記に追加して以下の結果が得られます。

[制限]

その他については、電子データ版のマニュアルをご参照ください。
 

トップへ戻る

文書

文書の追加

以下の文書が追加されました。

CAEFEMベンチマーク

CAEFEMのベンチマークを主にNAFEMのベンチマークプログラムを使って実施した結果と考察を示します。 これらは品質確認作業で実際に使用されているものの一部を文書化したものです。ベンチマークに関しては、今後定期的に充実が図られます。 ただし、ベンチマーク文書は電子データでのみ提供します。 これは、ベンチマークの性質上、 バージョンアップごとに頻繁に更新されるためです。

文書の充実

CAEFEMマニュアル

CAEFEMマニュアルが充実し、906ページになりました。 追記分は、主に解析リファレンスに関する部分です。 本リリースでは、電子データでのみ文書を供給します。 ヘルプシステムも更新されています。

CAEFEM例題集

例題集をCAEFEMのアップデートに伴って、更新しました。本リリースでは、電子データでのみ文書を供給します。 ヘルプシステムも更新されています。

CAEFEM例題集とマニュアル例題のサンプルデータ

CAEFEM例題集とマニュアル例題のサンプルデータ(ニュートラルファイル)を<CD-ROM>:\Reidaiフォルダ内に保存しました。 ご参照ください。
 

トップへ戻る


バグフィックス

二次プレート要素

プレート二次要素と積層要素の動解析精度が向上しました。 以前のバージョンでは、質量マトリクスを要素座標系で計算していたため、動解析に関して正しい答えを与えていませんでした。
ご迷惑をおかけしてまことに申し訳ありませんでした。
なお、動解析の範囲は固有値解析、座屈解析、線形/非線形過渡解析、周波数応答解析、 スペクトル応答解析です。

熱特性の問題

負の線膨張係数を再サポートしました。 前バージョンでは線膨張係数に負の値を入力すると、 計算できませんでした。 ご不自由をおかけしてまことに申し訳ありませんでした。

モード減衰関数の不正設定による異常終了

モード減衰関数に不正な関数を指定すると、解析のタイプに関わらず異常終了してしまう問題を解消しました。
この原因は例外処理の不具合でした。 

直交異方性材料

熱伝導計算の問題

直交異方性材料を使用して熱伝導解析した場合に伝導が正しくない不具合を解消しました。以前のバージョンでは、非対角項を正確に処理できませんでした。

直交異方性の整合性確認方法の変更

ポアソン比が0.5を超えるケースを許容するように改善しました。 ポアソン比が0.5を超えるのは、おもに積層板などです。
直交異方性材料プロパティに関する以下の仮定条件を削除しました。





ν  < 0.5

これらの条件を仮定しても材料は直交異方性として成立するのですが、 以下の条件が暗黙の内に組み込まれることになっていました。

仮定条件

材料主軸座標系で見た場合、せん断弾性率は、45°回転した方位の座標系でも同じ値をとる。

この条件を仮定すると、 パラメータは三つの縦弾性率と、三つのせん断弾性率または三つのポアソン比の片方を定義すればよく、金属材料では大体正しかったのですが、 高分子材料では問題がでます。
この条件を削除する事で、高分子材料など、より多くの直交異方性材料を計算できるようになりました。 
仮定条件は十分条件ではありましたが必要条件ではありませんでした。 
ご不自由をおかけして申し訳ありませんでした。
ただし、今後は三つの縦弾性率、 三つのせん断弾性率、および三つのポアソン比を全て定義する必要があります。
各弾性率間の正しい関係を以下の表にまとめます。

 

Ei, νij

Gij, νij Ei, Gij Ei, K Gij, K
Ei Ei
Ejνij=Eiνji
Ei(νji+νjkνki)=Ej(νij+νikνkj)
なし Ei Ei なし
Gij なし Gij Gij なし Gij
K なし なし K K
νij νij
Ejνij=Eiνji
ν13ν21ν32=ν31ν12ν23
νij なし なし なし

そこで、ユーティリティツールの直交異方性チェッカーを使って、定義した材料が正しいかどうか、確認してください。

線要素への分布荷重

現象と処置

線要素へ分布荷重が作用している場合、 拘束端の要素に作用している分布荷重の一部がおもにモーメント誤差に繰り込まれていました。 この問題を解消しました。

積層要素

現象と処置

以前のバージョンでは、線形要素は利用できませんでした。 また、 熱伝導計算ができませんでした。 この問題を解消しました。
また、2D直交異方性材料の使用に問題がありました。 これはE3方向の剛性を考慮する場合に起こるものでした。本リリースでは、E3=E1とすることでこの問題を解消しました。

プレート要素

現象と処置

2D直交異方性材料の使用に問題がありました。 これはE3方向の剛性を考慮する場合に起こるものでした。 リリースでは、E3=E1とすることでこの問題を解消しました。
 

トップへ戻る


判明している問題点

二次プレート要素の直接法過渡解析

現象

二次プレート要素に圧力荷重を作用させ、直接法を使った過渡解析は、正しく計算されません。 モード合成法ではこの問題はありません。

現状での対策

二次プレートをお使いになる場合、 モード合成法をご使用ください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

ケーブル要素の分布荷重

現象

ケーブル要素の分布荷重は、 固定端要素では、半分のみ考慮されます。

現状での対策

ケーブル要素をお使いになる場合、固定端をもつエレメントの荷重を二倍にしてください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

FEMAP関数の制約

現象

解析に関与しているかどうかに関わらず、FEMAP上にデータ点数が250を超えるFEMAP関数が定義されている場合、CAEFEMで解析できません。

現状での対策

データポイントが250個を超える関数がある場合、これを削除してください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

PCGLSSエンジンでのモード解析

現象

PCGLSSエンジンを使ってモード解析を含む解析を実施すると、計算収束速度が遅くなるケースがあります。

現状での対策

モード解析ではスパースエンジンをご試用ください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

DDEの問題

現象

大きな解析結果をCAEFEMからFEMAPへDDE転送するとき、解析結果が正常に変換されない場合があります。

現状での対策

この場合は、 解析結果が全てゼロになるので、解析結果をご確認ください。もし、解析結果が含まれていない場合、FEMAPからもう一度解析モデルを転送し、解析を実施してください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

CAEFEMデータベースの問題

現象

任意の解析を複数回実施した場合、各解析のセット番号はずれてしまいます。

現状での対策

この現象が起こるのはリスタート解析の場合のみなので、解析が終わる毎に解析結果をFEMAPへ戻すか、ニュートラルファイルへ出力してください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

GLviewインターフェイスの問題

現象

解析を間引きしてGLviewに解析結果を転送すると、空の解析セットがたくさん出力されます。

現状での対策

特にありません。全て戻してください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

CAEFEMプロセスファイルの時刻

現象

CAEFEMプロセスファイル(*.out)の計算時刻は正しくありません。

現状での対策

特にありません。

修正予定

次期リリースで修正予定。

CAEFEMでの材料物性定義時の問題

現象

CAEFEMで材料物性を定義するとき、解析タイプに関わらず、融解温度の[開始]と[終了]のうち、終了の方を[開始]の値よりもわずかに大きい値を設定しないとエラーが出ます。

現状での対策

[終了]に[開始]より大きな値を設定してください。

修正予定

次期リリースで修正予定。

プレート要素の次数と精度

現象

線形要素は精度の点で不利です。 線形要素の場合、メッシュを同程度に細かくした二次要素より精度が劣ります。 また、荷重境界条件が定義されたノードを直接参照するエレメントは変形、応力とも精度が劣ります。

現状での対策

プレート要素に関しては、変形と応力の精度を確保したい場合、二次要素をおすすめします。

修正予定

次期マイナーリリースで改善予定。

プレート要素の形状非線形性

現象

プレート要素の形状非線形性の考慮は現時点では二次要素に限られます。

現状での対策

プレート要素に関しては、大変形を考慮したい場合には、二次要素をご利用下さい。

修正予定

次期リリース以降で解消予定。

非線形熱ひずみ解析(線要素)

現象

線要素を含んだモデルでは非線形解析で温度荷重を定義することができません。

現状での対策

申し訳ありませんが、現状では対策はありません。

修正予定

次期リリースで改善予定。

大ひずみ解析

現象

大ひずみのとき、大体ひずみが0.3を超えると誤差が非常に大きくなります。

現状での対策

申し訳ありませんが、現状では対策はありません。

修正予定

次期リリース以降で改善予定。

線形プレート要素の面内挙動

現象

完全な平面上にある線形プレート要素に対して、面内方向に荷重を作用させたとき、 荷重を作用させた第一層のエレメントのうち、荷重の端での変形が奇妙なものになります。

現状での対策

いくつか対処方法があります。

対処1)

この問題は二次要素では出ません。二次要素をご使用ください。

対処2)

荷重をエッジへの分布荷重にします。 このように設定しすると、荷重点の精度が向上します。

対処3)

線形プレート要素の場合、たとえば上図のようになります。この場合、 面外回転自由度を拘束してください。 面外に曲がっている形状では、この問題は発生しないか、無視できます。

修正予定

次期リリース以降で改善予定。

プレート要素のハニカム入力

現象

プレート要素のハニカムサンドウィッチ入力は現状では線形要素のみに有効です。

現状での対策

プレート要素でハニカムサンドウィッチパネルをモデル化するときには、線形要素をご利用下さい。

修正予定

次期リリースで解消予定。

GAP摩擦

現象

GAP要素の摩擦定義機能は、現状では非線形静解析に限定されます。

修正予定

次期リリース以降で解消または改善予定。

非線形静解析の自動ステッピング

現象

自動ステッピングの場合、荷重関数の不連続点の検知が十分でない場合があります。

現状での対策

計算ステップを明示的に指定して下さい。

修正予定

次期リリースで解消予定。

 

トップへ戻る



http://www.caefem.com/
http://www.cae-nst.co.jp/
Numerical Simulation Tech Co.,Ltd.
(c) 2001 Concurrent Analysis Corporation